2013年2月20日水曜日

mama!milk札幌公演のこと

(音楽をすることは花を供えることに似ている)

音楽が紡ぎ出される瞬間に立ち会ったんだな、と思った。
二人はおそらく目には見えない何か ー音だけではなくー を奏でているんだろうな。

mama!milkの北海道初となる音楽会が、
2013年2月17日札幌市にある「たべるとくらしの研究所」で行われた。

「冬の日の演奏会」と銘打たれたこの夜は、築80年という古民家を利用したカフェで行われた。
会場に入るとまずは研究所特製のあたたかいスープでお出迎え。

コントラバスとアコーディオンの周りを囲むようにカフェのベンチや椅子(それぞれ違う種類のもの)が置かれていた。
座ったベンチからは演奏スペースから3メートルほどしか離れておらず、嬉しいやら緊張するやら。

開演予定時刻の17:00を少し回った頃、
「(あたたかいスープのための)パレード」という曲で二人の演奏が始まった。
主旋律がコントラバスの弦とアコーディオンの鍵盤を自在に行ったり来たりしていて、まるで生き物のよう。

二人の写真はうつむいているものが多いし、YouTubeで見る映像は顔がよく見えないものが多い。
二人の演奏する表情を見ることができたのも演奏会に来てよかったと思った。
生駒さんは曲の要所要所で目を合わせる以外は目を閉じながらアコーディオンを操っている。
何かを思い浮かべているのか、それとも何か思い出しているのか、
蛇腹は呼吸するように開いては閉じ、また開いている。
清水さんは普通に演奏するだけでなく、右手の指でコントラバスを叩いたり左手の指輪で音を出してリズムを取ったり、口笛吹いたりと案外忙しい。

会場の雰囲気はこの日の演奏会にとてもお似合い。
調理場から照らした灯りが演奏中の二人を淡く照らし、会場を暖めていたポータブルストーブの炎が穏やかな雰囲気を醸し出していた。

アコーディオンが閉じたり開いたりする音、
店の奥で引き戸を開け閉めしている音、
(演奏会前に)2階を歩いてきしむ床の音、
そして二人が奏でる楽器の音。

総ての音が愛おしい。

そんな演奏会だった。

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